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老朽化アパートの事故と損害賠償の話


—「契約書に免責を書けば大丈夫?」の本当のところ—

最近のニュースで、築古物件の火災や外階段の崩落など、老朽化による事故が増えているという特集を見ました。
長く建物を維持していくむずかしさを感じる一方で、「うちのアパートも大丈夫かな…」と心配されるオーナー様も多いだろうなと、胸がぎゅっとしました。

今日はそんなご相談の中でも特に多い、
「契約書に“事故が起きても貸主に責任を問わない”と書いてしまえば大丈夫ですか?」
というテーマについて、私なりに分かりやすくまとめてみました。
(※記事内容は掲載時点の法律に基づきます)


■ オーナーが負う損害賠償責任とは?

① 債務不履行責任(民法606条)

建物を賃貸すると、賃料を受け取る代わりに
「入居者が安全に使える状態を維持する義務」
が貸主にあります。

たとえば、外階段が腐食して危険な状態のまま放置し、入居者がケガをした場合――
これは「必要な修繕を怠った」と判断され、オーナーは損害賠償責任を負います。

入居者の安心・安全を守るのは、貸主として欠かせない役割ですね。


② 工作物責任(民法717条)

賃貸人が建物の所有者である場合、
建物の欠陥による事故は“無過失でも責任を負う” とされています。

外階段や屋根、手すりが老朽化して落下・破損し、入居者がケガをした場合、
オーナーが「知らなかった」「気づけなかった」としても責任が生じる可能性があります。

だからこそ、古い物件はこまめな点検が本当に大切です。


■ 「事故が起きても貸主に請求しない」という特約は有効?

結論から言うと…

多くの場合、無効です。

ただし、状況によっては有効になるケースもあります。


■ 有効になるケース

  • 貸主・借主が 法人同士 の契約

  • 借主が 事業目的 で借りている場合

このような場合、免責特約が認められることがあります。


■ 無効となるケース(ほとんどはこちら)

借主が個人で、
生活のためにアパートを借りる場合(消費者)
——ここでは 消費者契約法が適用されます。

消費者契約法では

「事業者の損害賠償責任を全部免除する特約は無効」
と明確に定められています(消費者契約法8条)。

つまり、
個人向けの住居賃貸契約に“事故が起きても貸主に責任を問わない”は使えません。


■ 消費者契約法のポイント

  • 賃貸業を行うオーナーは事業者とみなされる

  • 個人入居者は消費者

  • 事業者側の責任を全て免除する条項は無効

  • 瑕疵担保責任(欠陥による損害)の免除も無効

さらに、法改正によって
不当な契約条項に対して、適格消費者団体が差止請求できる
仕組みも整っています。

入居者の権利を守る時代へと確実に進んでいますね。


■ では、オーナーはどうすれば良い?

私がお伝えしたいのは、
「免責条項でリスクをゼロにすることはできない」という現実 です。

だからこそ大切なのは、

  • 建物の定期点検

  • 早めの修繕

  • 共用部分の安全確認

  • 火災保険・施設賠償責任保険の加入

そして何より、
誠実に説明してくれて、建物管理の提案までしてくれる不動産会社と一緒に進めること。

“困ってから相談”よりも、“困る前に対策”がいちばん安心です☺️


■ さいごに

老朽化が進むと、オーナーとして心配は尽きないもの。
でも、正しい法知識と適切な対策をしていけば、入居者の安全も守れますし、オーナー自身のリスクも大きく減らせます。

もし「具体的に何をしたらいい?」という場合は、
状況に合わせてアドバイスもできますので、いつでも相談してください。

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