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気にならなければ大丈夫”の裏側で考えたい、擁壁と土地の安全の話

最近、ニュースでも
「大雨の影響で道路が崩落」「擁壁が崩れて通行止め」
といった話題を目にすることが増えましたね。

正直なところ、
“自分の住まいには関係ない”
と思いたい気持ちもありますが、不動産の仕事をしていると
土地の安全性は、購入前にきちんと向き合うべき大切なポイントだと、改めて感じます。


■ 擁壁って、実はとても判断が難しい

今回ご相談を受けた土地も、
・高低差がある
・道路に接している
・擁壁がある

という、よくある条件でした。

以前の説明では
「お墓があること」「高低差があること」については伝えられていたものの、
「気にならなければ特に問題ないですよ」という、少し軽めのニュアンス。

でも、あとから専門家(司法書士)に相談したところ、
・地震や豪雨の際に道路側が崩れる可能性
・万が一の際、誰が責任を負うのか
・安全を確保するには、大規模な擁壁工事が必要になる可能性

こうした点が見えてきました。


■ 「昔はOK」でも、「今もOK」とは限らない

この擁壁、調べてみると
昭和48年に、当時の都市計画法に基づいて開発許可を受けて作られたものでした。

つまり、
✔ 当時の法律には適合している
✖ 今の建築基準法の基準には適合していない

という状態です。

実はこれ、特別な話ではなく、
古い造成地の擁壁は、ほとんどが同じ状況だったりします。

だからこそ大切なのは、
「違法かどうか」ではなく
「今後、安全に使えるのかどうか」を、どう考えるか。


■ 不安がゼロにならないからこそ、現実的な対策を

擁壁については、
・建築確認の段階で建築士が調査を行う
・傾きやひび割れ、経年劣化を確認する
・問題があれば、建物を離して建てる(崖条例の適用)

といった形で、最終的な安全確認は建築士が担うことになります。

ただ、それでも
「万が一が起きたら…」
という不安が完全になくなるわけではありません。

そのため、現実的な対応としては
・火災保険にきちんと加入する
・市と相談しながら、予算内で可能な範囲の擁壁工事を検討する

こうした“できる対策を積み重ねること”が大切だと感じます。


■ 誠実な不動産会社であるために

不動産の現場では、
「気にしなければ問題ないですよ」
で話が終わってしまうことも、正直あります。

でも、
あとから不安が大きくなったり、
「聞いていなかった」と感じてしまうのは、
買う側にとっても、売る側にとっても、決して良いことではありません。

だからこそ、
✔ リスクがあるなら、きちんと伝える
✔ 分からないことは「分からない」と言う
✔ 判断材料を一緒に整理する

こうした誠実な対応こそが、不動産会社の役割だと思っています。


土地や建物は、
「買って終わり」ではなく、
「これから長く付き合っていくもの」。

だからこそ、
少し慎重すぎるくらいで、ちょうどいいのかもしれませんね。

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